【神戸迎賓館旧西尾邸】建物探訪 – 大正浪漫が息づく洋館でタイムスリップ

須磨駅から徒歩15分ほどの丘の上にある大正時代に建てられたセセッション様式の邸宅が神戸迎賓館旧西尾邸です。

敷地面積は10,000㎡ともう普通では考えられない広さ!

当時の須磨は華族や文化人などのお屋敷や別荘が立ち並ぶセレブな町、なかでも西尾邸は社交の場として一目置かれており、招待されることがステイタスだったほどの超豪邸。

今回は特別に内覧と本格的なフルコースランチのツアー に参加して「食べて・観て」の満足な時間を体験したので写真たっぷりでご紹介しますね。

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【神戸迎賓館旧西尾邸】の概要

今回の訪問は晴れの日を狙ってきました。ちょうど1日だけ晴れの天気予報だったので、1週間前に予約・・・見事に晴れました🌞

住所 〒654-0067 兵庫県神戸市須磨区離宮西町2-4

営業時間 ランチ/11:30〜14:00(L.O.)
ディナー/17:30〜21:00(L.O.)
定休日 火曜日

電話 078-739-7600

交通

・山陽電鉄月見山駅・須磨寺駅 徒歩約14分
・JR須磨駅 徒歩約20分
・JR須磨駅 タクシー約5分
・JR須磨駅 市バス75系統妙法寺駅前行「離宮公園前」 下車120m
・市営地下鉄妙法寺駅 市バス75系統須磨一の谷行「離宮公園前」 下車北へすぐ
・第2神明道路 須磨IC、阪神高速3号神戸線 月見山出入口

入口からエントランスまでのアプローチにあるアイアンサイン。

大正時代の豪華な邸宅の魅力と歴史

神戸迎賓館ルアンは、大正時代に栄えた貿易商、西尾類蔵氏によって建てられた華麗なる大邸宅です。

この歴史的建造物は、須磨の地に位置しており、「武庫離宮」(現在は須磨離宮公園として知られる皇室の別荘)や鉄道の開通など、別荘建築ブームが巻き起こした地域の一角にあります。

歴史的に見ると、武庫離宮は残念ながら空襲で焼失してしまいましたが、大正天皇や昭和天皇、さらにはラストエンペラーとして知られる溥儀皇帝(満州国皇帝)も宿泊したと言われています。

このように皇室との深いつながりを持つこの地に隣接するのが、なんと「旧西尾邸」です。

旧西尾邸の設計を担ったのは、初代通天閣や旧岡崎財閥邸(「華麗なる一族」のモデルとなった邸宅)を手掛けた著名な建築家、設楽貞雄氏。

戦後、GHQに接収された多くの建物が国や地方自治体に返還される中、旧西尾邸は数少ない例外として個人に返還されました。

伝えられるところによると、これは進駐軍の高官と西尾家との間に特別な繋がりがあったためだと言われています。

この広大な敷地と建物は現在も個人によって維持管理されており、2010年3月19日には兵庫県指定重要有形文化財に認定されました。

この認定は、その歴史的価値と文化的重要性を称えるものです。

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それぞれの間取り図はこちら

【神戸迎賓館旧西尾邸】本館/外装

西尾邸の見どころ満載な画像を紹介していきますね。

車寄せ

こちらはエントランス車寄せの裏側から見た様子。

前回来た時には気がつかなかったけど、入り口の反対側には椅子2脚とスタンド灰皿。

館内は禁煙なので愛煙者はこちらでおタバコをどうぞ!

新しいものにはない味わいの外壁。昨今の擬石やブリックタイルなどの偽物と違って、経年の劣化や汚れも良い風合いに変化してきています。

いいですねぇ。

ただ、以前の職業柄でタイルの汚れと白華については、まっさらに磨き上げたいですが・・・💦

外壁と屋根

外壁は玄武岩と二丁掛タイル、小口タイル、窓周りなどには何種類もの化粧石で装飾されていて豪華!

屋根はいぶし銀の和瓦。結構複雑に入り混じっていますが、全体的には、はかま腰屋根でしょうか?

1階テラスと外階段

建物南側の正面向かって右のほうに広めのテラス。

エントランス側の庭からは階段を昇ればテラスへ上がれます。さらに一段低い中庭へも階段で繋がっています。

もちろん建物内からもテラスに出られて、天気の良い日には希望すればアフタヌーンティの会場に早変わり。

床のタイルはオクタゴン(八角形)タイルと四角形タイルのミックス張り。

現代でもお金持ちのおうちや店舗などで採用されているデザインですが、オリジナルで作られたと考えられるタイルはサイズ感もお洒落。

階段は暗闇に続いていて、ドキドキ!

すぐに光が見えたので、何事もなく、ホッ。

物語に出てきそうなシチュエーションにテンション上がり気味。

玄武岩のアーチ

もう、ここだけ見たらほんとヨーロッパのお城にいるかのような錯覚に!

アーチも現物を見ると迫力と繊細さを感じる素敵なスポット。

ウエディング写真の背景としても使っているようです。

【神戸迎賓館旧西尾邸】本館1階

建物内部は本当にワクワクするほどの当時のものが残っています。

フロアごとに紹介していきますね。

アメリカ軍に接収されて大きな改変はなく戻ってきた奇跡の建造物「西尾邸」。

戦争当時の空襲も阪神大震災もあったのに、奇跡的にオリジナルが現存できているのは本当に素晴らしですね。

本館1階/間取り図

本館1階の間取り図。

エントランス、ロビー、待合室、執務室、食堂、テラスがあります。

エントランス

様々な石を使ったエントランス。磨きの大理石階段は圧倒的な迫力があります。

ほんとにかっこいい!(語彙が少なくてすみません)

階段の蹴上に楕円の穴が開いているのは、正装したご婦人方の寒さ対策の暖房の吹き出し口。

須磨は温暖な気候とはいえ、さすがに冬場は寒いし、特に石張りで底冷えするために設えられたもの。

六角形のタイル模様がキュートな印象で遊び心がありますねぇ。

1階 待合室

1階の入り口入ってすぐ右側にあるのが待合室。

当時の家具が使われており真紅の絨毯にとても映えます。

現在は使用してない天然石とアイアンで作られた暖炉も素敵ですね。

神戸迎賓館LU UNは結婚式や披露宴会場としても営業しているのでウエディングドレスも飾ってありました。

前回の来館時は結婚式の前撮りもやっていたのすが、さぞかしロマンチックな思いでに残る写真が撮れたんだろうなと。

NHKの朝ドラ「まんぷく」のロケ地にもなって、サインもありますよ。

7~8年程前から建物前の大木を切ったりしてより建物全景が見えやすくなったことで、テレビや映画などのロケも増加傾向だとか。

なにぶん古い木が多く、あまり大きくなり過ぎた樹木は倒木の恐れもあり切ったそうです。

天井の装飾にも目を見張るほど。

網代編みと透かし彫りで装飾性の高い仕上がりですね。ほんとに見ていて飽きません。

もちろん当時もののシャンデリアも豪華さもあるのですが、洗練された気品も感じさせるデザインに仕上がっています。

すりガラスを使った傘部分は規則的な波文様。

アールデコの時代の大変希少なものですね。

1階 執務室(レストラン)

こちらは執務室だった場所で現在はレストランとして使っています。

椅子やテーブルなどの家具類は当時からあるものを修理して使っているので、建物と年代的な調和がとれているのも良い。

深紅のカーペットと椅子の背もたれ部分の色が統一されていて一体感があります。

サンルーム的な位置にある窓際スペースは日当たりもよく、外の景色を観ながらお食事できるとっておきの場所です。

1階 食堂(VIPルーム)

私が参加したOtonamiのツアーではこちらのお部屋でランチをいただきました。

執務室より奥まった場所にある当時からの食堂スペース。

シャンデリアもそれぞれ違うものが吊られていて見飽きませんね。

階段・廊下・ロビー

真鍮のドアノブも当時物でマイナスネジ仕様、経年の渋みが出ています。

1階の階段前スペースにはGerhard Adam Weselのロゴが残る古いピアノが置かれています。

Gerhard Adam Weselは19世紀にドイツのウェーゼルで設立されたピアノ製造会社。その品質と歴史的価値から、今でも多くの音楽愛好者やコレクターによって高く評価されているそうです

こちらのピアノは長い年月、演奏できない状態でしたが、4年ほど前にオーバーホールして修繕されています。

生演奏、聞けたら最高ですね。

フジコヘミングのラ・カンパネラ、ここで聴きたい💗

絨毯の映える大階段の踊り場の大きなステンドグラス。電傘もステンドグラス製。

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真鍮製の階段パイプホルダーと階段手摺の鋳物装飾。

廊下の床板。よく歩く場所は塗装が剥げています。

これでもかというぐらいステンドグラスがあります。

こちらはお屋敷奥の階段。カーペット敷ではないけど、重厚な造り。

【神戸迎賓館旧西尾邸】本館2階

本館2階はプライベートルームもあるスペース。

窓からの眺めも一層素晴らしいです。

本館2階/間取り図

本館2階にあるのは、貴賓室2、テラス、鳳凰の間、当主寝室。

2階 鳳凰の間(バンケットルーム)

大広間で和室に絨毯を敷いてテーブルをセッティングしています。

前回はこちらでアフタヌーンティをいただきました。

和室だけあって、和のしつらいが格調高い空間です。

杢目美しい材をふんだんに使って仕上げられた空間で欄間などの建具も豪華絢爛で一見の価値あり。

組子細工の欄間は細やかな幾何学文様で目を見張るものがあります。

ぼんぼり型の5燈シャンデリア。火屋は乳白ガラス。

床の間には屋敷に会ったラジオや時計、トランク、特注のカトラリーセットも置いてあります。

カトラリーの柄にはRNのネーム入り(西尾類蔵さんなので)

2階 貴賓室(ブライズルーム)

貴賓室。当時は客用ベッドルームとして使われていました。

照明は布製の傘で柔らかいイメージに対して直線的なメダリオン。

貴賓室から出入りできるテラス。1階の車寄せ上のスペースを利用しています。木々に囲まれているので、ゆったりとくつろげます。

このテラスへの出入り口にある木製ドアと鉄扉。

日本でいう雨戸代わりの鉄扉は両開き折れ戸。ヨーロッパでは鎧戸などをよく見かけますが、こちらは板状のものです。

まさにシャビ―な一品でペンキの剥げかけた風合いや錆具合がアンティーク建具ファンには垂涎の的。

2階 キッチン(スタッフルーム)

レストランで働くスタッフルームとなっている為、今回見学はしていません。

・・・現在のレストランのキッチンは消防法の関係で別棟にあります。

重要文化財に指定されて厳しくなったようです。

【神戸迎賓館旧西尾邸】本館地下

レストランを利用しただけでは見ることのできないのが地下。

結婚式をこちらで行うと親族や参列者の控室となっているため入ることができます。

本館地下/間取り図

地下部分は位置的には半地下です。

内部には金庫やワインセラーなどのあった部屋、炊事室(アイロンがけや裁縫などに使われていた)女中部屋、書生部屋、玉突き部屋(ビリヤード部屋)。

地下 大金庫・ワインセラー室(親族控室))

金庫室は大きな金庫と小さな黒塗りの金庫。

こちらの小さい方は、所さんの開かずの金庫の開錠番組で開けたとのこと。金庫の中には当時の記帳な資料が残ってたそう。

2重扉になっている金庫室。

重厚です。

部屋内はワインセラーにもなっていて、ワインの収納庫としても使われていたそうです。

地下 女中部屋(親族控室)

現在は親族控室として使われているお部屋で、当時は女中部屋だったそうです。

半地下なので、少し湿った土の臭いがあるような気がしますが、窓もあり光が入るので、いわゆる地下室みたいなジメジメした空間ではありません。

地下階段

半地下なので暗い場所はあまりないのですが、地下へ降りる数段の階段部分は秘密めいた空間です。

【神戸迎賓館旧西尾邸】庭園と離れ、茶室

神戸迎賓館旧西尾邸は10,000㎡の広大な敷地。

本館の裏には日本庭園があり、戦後に当主が居住していた離れと「真珠亭」と呼ばれる茶室があります。

この茶室は近年修繕されて中が観れるようになっていますが離れの方は修繕できていないので内覧は出来ません。

日本庭園

池泉回遊式庭園という様式の庭は、近代日本庭園の先駆者である庭師「小川治兵衛」によるもの。

石造りの太鼓橋。

石灯籠。

現在の当主が手入れして苔も綺麗に生える庭。

茶室「真珠亭」

紅いベンガラの壁。屋根は煉竹と北山杉の丸太。

離れ「松風閣」

建物は「懸造り(かけづくり)」と呼ばれる日本古来の伝統工法。水の中に土台柱があります。

現在は開発で水が枯れてしまったそうですが以前は渓流を引き込み、裏山との借景が見事な山水の庭園だったでしょうね。

正面玄関のガラス戸。

勝手口。

離れからの景色。

戦時中、神戸は空襲で焼け野原だったけど、須磨も例外ではなく、街は焼き尽くされました。

西尾邸が空襲を奇跡的に免れたのは、敵機の戦闘機の折り返し地点がこの辺で、背後の山があるので近寄らなかったともいわれているそうです。

その他

結婚式場のチャペル棟、手前の建物は馬小屋

【神戸迎賓館旧西尾邸】特別ツアー付きランチ

今回はOtonamiの特別ツアー付きランチ で建物見学をしてきました。

建物の案内はルアンの支配人。本館内と庭園を説明付きで案内してくれます。

当日ツアーは、一般のランチ利用のお客様より早めの時間に設定されているので、じっくりとテーブル間に入って撮影もできました。

人数制限があるツアーなのですが、会場が広くゆったりとお料理を味わうことができました。

➡特別ツアー付きランチの詳細はこちら

【神戸迎賓館旧西尾邸】の周辺と交通

神戸迎賓館旧西尾邸の近隣には須磨離宮公園があります。

目と鼻の先なので一緒に散策するのも良いですね。

神戸市立須磨離宮公園HPより引用

こちらは神戸市立須磨離宮公園のアクセスマップですが、場所も近いし解りやすいのでお借りしました。

・山陽電鉄月見山駅・須磨寺駅 徒歩約14分
・JR須磨駅 徒歩約20分
・JR須磨駅 タクシー約5分
・JR須磨駅 市バス75系統妙法寺駅前行「離宮公園前」 下車120m
・市営地下鉄妙法寺駅 市バス75系統須磨一の谷行「離宮公園前」 下車北へすぐ

前回は月見山駅から徒歩で行きましたが、今回はJR須磨駅からバスで行きました。

行きはずっと上り坂なのでバスだと楽でした。

帰りは須磨駅まで散策がてら歩きました。

帰路の風景画像を掲載しておきますね。

①バス停/離宮公園前

行きのバスは[神戸市バス75系統 妙法寺駅前行き]須磨駅前←→離宮公園前のバスを利用。

料金は210円。

バスを降りて交差点方向へ戻るとビッグボーイとジョリーパスタのファミレスが入った店舗が角に!

その前にルアンの大きな看板があり右折して100mほどで入り口前に着きます。

②須磨離宮公園

須磨離宮公園は兵庫の子供たちは遠足なんかで来るみたい。

③離宮道

離宮道は須磨離宮が天皇家の御用邸だったころ作られた道です。

この道は歩道と道路が植栽で隔てられているほか、道路の方が高くなっています。

バスに乗っていると歩道に気がつかないほどです。

よく手入れされた松の枝がとても美しいですね。

タイル張りの歩道の所々にある消火栓。なんかかわいいですね。

④踏切

だいぶ、下へ降りてきました。

山陽線の踏切です。後ろを振り返って撮った写真で奥の方に須磨離宮公園のある山が見えています。

⑤菅の井

旧西宮街道の広い道路沿いにある「菅の井」

菅原道真公ゆかりの場所でここの井戸の水をもらったときにたいそう喜ばれたとのことです。

標識や地図もあるので初めての道でも安心して歩けました。

⑥バス停/須磨駅前

JR須磨駅から北へ出た交差点の前にあるのが山陽電車の須磨駅。100mほどの距離にあります。

バス停は山陽須磨駅の道沿い東側にあります。

神戸市バス75系統 妙法寺駅前行き]須磨駅前→離宮公園前
日中1時間あたり4〜6本運行
所要時間 約6分

2024年3月のバス料金は210円でした。

時刻表は運行時間が変わることが予想されるため、神戸市交通局の75系統停留所のHPを参考にした方が良いですね。

須磨駅前をクリックすると時刻表が出ます。

参考:神戸市交通局 75系統停留所一覧

バスは真ん中の入り口から乗って、料金前払い。交通系のICカードも使えるので私はPASMOで支払いました。

降りる時は前のドアからです。

⑦JR須磨駅

須磨駅のすぐ目の前に須磨海岸。

3月なのに散歩したりくつろいだり、砂浜に結構人がいます。

須磨駅前は小さなタクシー乗り場があるほか、道路沿いに飲食店が並んでいます。

ミスタードーナツは駅の横にあり、中、高校生らで賑わっていました。

【神戸迎賓館旧西尾邸】まとめ

神戸迎賓館旧西尾邸で行われた特別ツアーでは重要文化財としての名建築をたっぷり鑑賞することができました。

建築や歴史に興味ある方や本格的なフレンチを堪能したい方にもぴったリ。

百聞は一見に如かず!おすすめです。

Otonamiについて詳しく知りたい人はこちら

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